十角館の殺人(綾辻 行人) ☆4.0 この本の仕掛けに気付ける人は天才だと思う
個人的な評価☆4.0/5.0
今回紹介する本は
・どんな本?
・日本ミステリー小説界の大御所「綾辻行人」のデビュー作。
・所謂「クローズドサークル」作品であり、日本ミステリー小説界に
衝撃を与えた一冊。
・「衝撃の一言」で有名な本書。初心者の方に非常におすすめだが、
最初は「一言」の意味がよくわからないかもしれません。
(ネットで調べればすぐに出てくるから安心!)
・あらすじ
1986年3月26日、大分県K**大学・推理小説研究会の一行は、
角島(つのじま)と呼ばれる無人の孤島を訪れた。
彼らの目当ては半年前に凄惨な四重殺人事件が発生した通称・青屋敷跡と、
島に唯一残る「十角館」と呼ばれる建物である。
彼らはそんな島で1週間を過ごそうというのだ。
一方その頃、本土では、研究会のメンバーに宛てて、
かつて会員であった中村千織の事故死について
告発する怪文書が送りつけられていた。
怪文書を受け取った1人である江南孝明は、
中村千織の唯一の肉親である中村紅次郎を訪ねる。 Wikipediaより
・所感
本書は自分の中で時系列を作りながら読んでいく事をお勧めします。
理由としては2つありまして。
1つ目が「過去の事件と現在がごっちゃごちゃになってしまう」からです。
本書は過去の事件編のすごくいい場面でも容赦なく場面を転換してきます。
なので時系列をまとめておき、今現代編はここまで来た、
ということを可視化させることで混乱を防いでくれます。
2つ目は「最後まで読んだ時の答え合わせができる」からです。
過去の記事を見ていただけた方なら私が紹介している本の傾向が
なんとなくわかるかもしれませんが、本書もその類なので
時系列の可視化をすることで本書の素晴らしさ、狡猾さを
垣間見ることができます。
本書はアガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を
リスペクトしているのがわかります。
ただ「そして誰もいなくなった」と同じような読み方をしていると
確実に読者の推理は躱されます。
また、本書を読んでいて私的には非常に読み易いなと感じました。
場面の転嫁により混乱してくることもありますが、
基本的には読者を置き去りにしない話の構成をしているため、
読むのがしんどいと感じることはないと思います。
本書はシリーズ化しており「館シリーズ」と呼ばれています。
そのどれもがこの本同様にアッと驚く仕掛けを用意しています。
ぜひ本書を読んで、アッと驚くトリックを堪能してみてはいかかでしょうか?