秘密(東野 圭吾) ☆4.0 運命は、愛する人を二度奪っていく
個人的な評価☆4.0/5.0
今回紹介する本は
秘密(東野 圭吾)です。
・あらすじ
運命は、愛する人を二度奪っていく。
自動車部品メーカーで働く39歳の杉田平介は
妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美と暮らしていた。
長野の実家に行く妻と娘を乗せたスキーバスが崖から転落してしまう。
妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、
死んだはずの妻だった。
その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密"の生活が始まった。
外見は小学生ながら今までどおり家事をこなす妻は、やがて藻奈美の代わりに 新しい人生を送りたいと決意し、私立中学を受験、
その後は医学部を目指して共学の高校を受験する。
年頃になった彼女の周囲には男性の影がちらつき、 平介は妻であって娘でもある彼女への関係に苦しむようになる。
98年度ベストミステリーとして話題をさらい、広末涼子主演で映画化、志田未来主演で連続ドラマ化もされた東野圭吾の出世作。累計200万部突破の伝説のベストセラー。
・所感
本書は杉田家の親子やそれに関わる人達の心理描写に
非常に力を入れている作品です。
その中でも、娘の体に乗り移ってしまった妻が学校に通いだし、
その周囲に男の影がちらついてきたときの父平介の葛藤は、
読んでいて苦しくなるくらいでした。
また、終盤で藻奈美の人格が戻り始め出した頃の、
妻を失いたくない、だけど娘が返ってくる事が嬉しいという
複雑な平介の心境を描いており、
これまた読んでいて苦しくなりました。
これだけだと読んでいていて苦しくなる本という感想に
なっていしまいますが、本書はそれが醍醐味であるといえます。
現実はありえないような出来事に直面し、それの当事者となった時、
人はどのような感情が生まれるのか。
最愛の人を二度失うことになった父は何を思うのか。
気になった人は是非本書を読んでみてはいかがでしょうか?